世界が注目するパーパスブランディング。かつての日本企業では常識だった

近年、企業経営のあり方を示すキーワードの一つとして“パーパス”という単語をよく目にします。さらに“パーパス” を軸にコーポレートブランディングを行う“パーパスブランディング”という言葉もメディアでは取り上げられています。 

パーパスと聞くと「企業理念との違いは何か?」 もしくは、「企業理念を構成するミッションやビジョンとは異なる新しい概念なのか?」と考える方もいるかもしれません。

いくつかのメディアでは、企業経営にはミッション・ビジョンだけでは不十分で、新たにパーパスが必要だという主張が展開されています。しかし、よくよく調べてみると、パーパスとは、「人と企業の存在意義」を表しており、日本企業にとって必ずしも新しい概念ではなさそうです。

古くは、近江商人の「三方良し」という考え方や松下幸之助氏の「企業は社会の公器である」という考え方の中には、自社と社会、会社と従業員の接点づくりの大切さが語られていました。

 本業として企業の理念構築や理念浸透に関わっている私たちですが、周りのクライアント様を見渡してみても、企業としての事業を通じた社会課題解決を目的とし、顧客、社会、社員の幸せに真摯に向き合っている企業は、すでにパーパスを持ち合わせているように感じます。

 さらに、この問題を少し複雑にしてしまっているのは、企業としての一つのあり方を表す“パーパスブランディング”という手法と、ミッション・ビジョンといった企業理念を表す理念ワードとしての“パーパス”が、混在して取りあげられていることも一つの原因と言えそうです。 

“パーパスブランディング”と ”パーパス”との違い

パーパスブランディング:
企業経営をパーパス(存在意義)に基づいて行うべきであるというブランディング手法。

 

パーパス:
ミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)等、企業理念ワードの新しいカテゴリーとしてのパーパス。

 

今回は、コーポレートブランディングの一つの手法としての“パーパスブランディング”と 企業理念ワードとしての“パーパス”を整理しながら、パーパスと企業経営の関係を紐解いていきたいと思います。

1:“パーパス(企業の存在意義)”が欧米で注目された理由

 2019819日アップルやウォルマートなどの米国のトップ企業が所属する財界ロビー団体であるビジネスラウンドテーブルが「企業の目的に関する声明」を発表しました。

1970年シカゴ大学の経済学の教授であったミルトン・フリードマン氏がニューヨーク・タイムズで発表した「企業の社会的責任は利益を増やすことにある」という有名な説を発端に、約半世紀に渡り企業経営の原則とされてきた「株主資本主義」。

その株主資本主義を否定し、全てのステークホルダーへの配慮を目指す「ステークホルダー資本主義」への転換を宣言したことで大きなニュースとなりました。

出典:https://www.businessroundtable.org/business-roundtable-redefines-the-purpose-of-a-corporation-to-promote-an-economy-that-serves-all-americans 

“企業のパーパスに関する宣言(ビジネス・ラウンドテーブル)”

雇用創出、イノベーション促進、必要な財・サービスの提供といった企業の基本的な役割に加え、すべてのステークホルダーに対し、下記5点をコミットすると声明

・顧客の期待に応える、あるいはそれを超える価値・サービスの提供

・従業員への投資(公平な報酬、急速な世界の変化に対応した教育の提供)

・サプライヤーに対する公平かつ倫理的な取引の実行

・地域社会支援、環境保護

・企業の投資、成長、確信を可能にする資本を提供する株主に対する長期的な価値の提供

 出典:BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る。ボストンコンサルティンググループ編著 日本経済新聞出版

企業トップ約180名の署名が入った声明は、「どのステークホルダーも不可欠の存在である。私たちは会社、コミュニティー、国家の成功のために、その全員に価値をもたらすことを約束する」という言葉で締めくくられています。

 株主の顔色を伺い短期的視点だけで利益を追求する企業が増える中、社会やコミュニティー、そこで働く人々にとっての価値提供を企業経営の目的にすべきである。この宣言によって企業にとってのパーパスが世界で注目されることになったのです。

 さらに、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、その年の取引先CEOに宛てた手紙で、企業にとってのパーパスの重要性を説き、企業のパーパスは、利益を達成するために必要な活力であり、投資における判断基準の一つになるだろうと述べています。

 企業のパーパスと利益は決して矛盾することなく、補完関係にあるということ。企業としてしっかりとしたパーパスを持っていることが、明確な投資の評価ポイントになるということが、投資する側の観点からも明確にされたわけです。

2:“パーパスブランディング”と“パーパス”

 次に、ここで取り上げられているパーパスの定義や意味について迫ってみたいのですが、世の中のメディアを見ていると、2つのパーパスが混在して使われているように感じます。 

1つめは、前述のビジネスラウンドテーブルが発信し、ブラックロックが追随した企業としての経営やブランディングをパーパスに基づいて行うべきだという考え方。これは正確に言えば、企業経営の手段としての「パーパスブランディング」です。

2つめは、レイヤーが少し下がり、企業理念を構成するミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)といった理念体系に新たにパーパスというカテゴリーを加えたり(もしくは置き換えたり)すべきだという考え方。つまり企業理念ワードとしての「パーパス」です。

“パーパスブランディング”と ”パーパス”との違い

 パーパスブランディング:
企業経営をパーパス(存在意義)に基づいて行うべきであるというブランディング手法。

パーパス:
ミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)等、企業理念ワードの新しいカテゴリーとしてのパーパス。

3:“パーパスブランディング”とは

まず初めに、ビジネスラウンドテーブルが提唱したパーパスブランディングとは何かをみていきます。複数のメディアを横断しながら調べてみましたが、厳密な定義が定められているわけではありませんが、概ね下記のような概念が挙げられています。

パーパスとは存在意義を意味します。元々は企業が変革したり、存続する際のぶれない軸となる考え方を示していますが、企業や組織だけでなく、個人にも関わります。

【個人のパーパス(存在意義)】

自分自身の価値観、顧客・組織への独自の提供価値

×

社会的意義(自分が応えられる顧客・社会のニーズ)

 

【企業のパーパス(存在意義)】

企業の価値観、独自の提供価値 

×

社会的意義(企業が応えられる社会のニーズ)

出典:パーパスマネジメント 社員の幸せを大切にする経営 丹羽真里著 クロスメディアパブリッシング

人と企業、両方の存在意義の接点をうまく重ね、働く人々の価値観に添いながら、事業を通じた社会課題の解決を図る。働く人々は自分の価値観にかなった仕事をしながら、組織として、より大きな成果や社会への影響力を及ぼすことができるため、いつまでもやりがいと誇りを維持できるというのがパーパスブランディングの考え方です。

 パーパス(人と企業の存在意義)

パーパスとは存在意義であり、人や企業が経済活動をする上で、自らが大事にする価値観と社会的課題の解決をリンクさせることで、経済活動に社会的意義の実現を果たしていく。

 

出典:BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る。ボストンコンサルティンググループ編著 日本経済新聞出版

近年ではSDGsなどの観点から、企業として社会課題の解決に積極的に取り組むという流れが増えていますが、パーパスブランディングにおいては、企業が「自分たちは何のために存在するのか」「社会のために何ができるか」という社会との関係性において、改めて自分たちの存在意義と向き合い、よりメイン事業を通じて社会が抱える課題の解決に取り組むことを目的に掲げています。

 株主だけでなく、社会、従業員、顧客といった関わる全てのステークホルダーの幸せを意識し、企業としてどのような持続可能な価値を提供すべきなのかを見つめ直すこと。自らの存在価値を再定義し、計画だけでなく、実際の企業経営に落とし込むところまでが求められています。

3-1:パーパスブランディングの効果

ここで改めてパーパスが、なぜ世界的に注目されているかを整理してみますが、そこには前述のような「株主資本主義から、ステークホルダー主義への転換という社会的変化」に加え、「環境変化やグローバル化による人材の多様化、マーケットの流動化に伴う環境的変化」の2つの変化の影響があります。

この2つの変化に対応すべく、企業はパーパスを明確にすること。そして同時に、どんな環境下でもパーパスを実現するための組織としての柔軟性が求められているのです。

出典:BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る。ボストンコンサルティンググループ編著 日本経済新聞出版

 複雑性が増す企業経営において、パーパスブランディングが果たす役割をビジネス領域と人事領域、組織領域の3つに分けて紹介していきます。

 <ビジネス領域>

ビジネス戦略においても、パーパスを起点にSDGsESGなどの観点を取り入れ、本業のビジネスと社会課題解決をうまく融合させていくことが求められています。自分たちが積み上げてきた資産や知見を活かせる分野と社会への影響力の大きさを見比べ、最も大きな社会インパクトを出せるビジネス領域がどこかを見極めていきます。

 パーパスを実現すべく独自の付加価値を磨き、社会への価値提供を続けていくストーリーは、企業の顧客にとっても大きなブランド価値にもなっていきます。パーパスに合わせて、これまでのブランド体験にはない、新しい顧客体験なども創出させることができます。

<人事領域>

人事領域においても、パーパスを起点にした採用・育成・ローテーションに関わる人材マネジメントポリシーの統合が必要とされています。時代にふさわしいパーパスは、使命感に共鳴する人材を採用し、ビジョン実現に向けて組織を加速させます。

 現在では優秀な人材ほど金銭面のインセンティブではなく、志に従って行動すると言われています。例えば、ミレニアム世代の働く際のモチベーションの上位にくるものは、「成長機会」、「社会への影響力の大きさ」、「労働条件・環境の柔軟さ」、「健康と家族の優先」、「奨学金の返済支援」などであり、従来、上位に位置していた「仕事での名声」や「主体性の発揮」、「金銭的な報酬」は下位に属しています。

 ミレニアム世代は人生を長期的視点で捉え、社会的意義や社会貢献をより意識します。人生を通じて、どうすれば社会のために貢献できるかを真剣に考えています。

 もはや会社に属すのではなく、社会的意義を実現するために、ふさわしい組織に属すという考え方であるため、会社の知名度や大きさ、報酬以上にその組織で社会のために何ができるかを重視します。ルールで縛るのではなく、組織が掲げるパーパスに共感してもらうことで、初めてエンゲージメントを得ることができるのです。

 <組織領域>

近年、日本企業において変化を勝ち抜くためのイノベーションが起こりにくいということが言われていますが、それは戦後の経済成長期の中で、製品を大量生産するために徹底的に最適化された組織構造が原因です。

 日本型(メーカー型)の縦割り組織は、早く正確に情報を現場に伝えることで、同じものを大量に生産するには適していますが、部署間・会社間を横断することで人材やアイデアを交換するといった新しい発想を生み出すことは不得意です。

 しかし、パーパスを起点にすることで、社会や顧客への提供価値に向き合うことができれば、組織の壁を超えたプロジェクト単位の有機的な組織体制に変化することができます。

 パーパスによって、従来の生産効率性を追求した縦型の機能別組織から、社会や顧客への価値提供に対して最も効果的かつ、イノベーションが起こりやすい有機的組織への移行が実現します。

3-2:パーパスブランディングは、新しい概念ではない

 ここまでご覧いただき、ふと疑問に思った方もいるかもしれません。実際に自社で完璧にできているか、できていないかは置いておいて「パーパスブランディングとは、意外と当たり前のことを言っているのではないのか?」そう考えた方も多いのではないでしょうか。 

実は、その通りなのです。逆に疑問に思われなかった方は、その組織には大きな伸び代があります。 

確かにこの考え方は欧米では珍しく、企業経営をする上での新しいコンセプトの一つのように取り上げられていますが、実は、昔から日本では程度や強弱の差こそあれ、この思想に基づいて企業経営がされていました。 

例えばですが、渋沢栄一氏の掲げる「論語と算盤」という考え方や、近江商人の「三方良し」(売り手によし、買い手によし、世間によし)という考え方、さらに松下幸之助氏の「企業は社会の公器である」という考え方の中には、自社と社会の接点づくりはもちろんのこと、仕事のやりがいに通じた人間成長という考え方が含まれていました。

 さらにドラッカー氏やビジョナリーカンパニーのコリンズ氏など、一部の欧米の経済学者も、パーパスブランディングに通じる日本企業の社会と会社と従業員の相互関係性についても昔から触れています。

このように日本の企業経営の中には、パーパスブランディングの思想はずっと存在していました。現在は、その思想を再評価し、企業としての良識や道徳といった慎ましい価値観として持っておくだけではなく、より経営に直結させ、企業を前に進めていく旗印にしていこうという流れが世界で起きているのです。 

もちろん、全ての日本企業がこの思想に基づいて理念経営をしているわけではありませんが、一部の企業では欧米企業が最近重要視しているパーパスブランディングとほぼ同じ内容を長年実践しています。

ただ、もったいないことに日本で働く人や組織自体が、そもそもの起業の精神や大事にしていたはずの価値観をいつの間にか忘れてしまっているため、パーパスブランディングを新しい南蛮渡来のコンセプトだと思ってしまっていることが、背景にある大きな誤解なのです。

4:企業の理念体系における“パーパス”とは

続いて、2つ目のパーパスの説明に進みたいと思います。

このパーパスは、企業理念を構成するミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)といった理念言語体系に関わるもの。つまり企業理念ワードとしての「パーパス」です。

少し複雑なマクロとミクロの二重構造になってしまいますが、前述したパーパスブランディングをするために、企業理念体系にパーパスを加えるというイメージです。 

このビジョンズメディアでも何度かとりあげていますが、理念体系にも正解はなく、色々な体系があります。理念体系にパーパスを組み込むケースも最近ではでてきているので、事例を紹介しながら、一度整理していきたいと考えています。

4-1:理念体系の定義

 複数の理念体系があることを前提に、最初の基準を作るうえでパラドックスが普段定義している理念体系と各理念ワードの定義を最初に紹介させていただきます。

 

<ミッション>

文字通りの日々果たすべき使命です。理念体系の核となり、企業の存在意義を表すもの。 

<ビジョン>

ミッションの遂行によって実現したい未来。一般的にビジョンとは、未来における自社のありたい姿(なりたい姿)を示すことが多いのですが、パラドックスではより社会との関係性を意識し、応援される存在になるべきだという考え方から、自社がなりたい姿になると、その影響力によって世の中がどうなっているのかという視点からビジョンを定義しています。 

<バリュー>

日々ミッションを遂行し、ビジョンを実現する過程で顧客やマーケットに提供する価値。こちらも一般的なバリューは、“提供価値”ではなく、企業で働くメンバーに共通する“価値観”としているケースが多いのですが、パラドックスではメンバーが共有すべき価値観をスピリット(クレド)とおき、バリューを純粋に顧客やマーケットに対する提供価値と定めています。

 <スピリット(クレド)>

MVを実現し、バリューを提供し続けるために社員が大事にする価値観、体現する日々の行動指針。

パラドックスのバリューとスピリット(クレド)の考え方

私たちがバリューとスピリット(クレド)をあえて分ける理由としては、顧客やマーケットから見れば、商品を通じて得られる価値が最も重要であり、企業が大切にする全ての価値観を求めていると限らないため、バリューは提供価値に限定しています。(一部は提供価値として重なります)

 その上で、価値観であるスピリット(クレド)を個別に設定している理由は、ミッション・ビジョンを実現する仲間を採用し、育成するというインナーブランディングの視点における指針となるため、企業として大事にしている価値観を定義しています。

 

<スローガン>

企業理念を社会に向けて伝える際に、コミュニケーションのスピードを上げるために一言にまとめた言葉。企業の存在意義を表現するためにミッション、もしくはビジョンをコピーライティングで分かりやすくするケースが多いです。

4-2:理念体系におけるパーパスの定義

 理念体系において、パーパス以外のワードの定義が明確になったところで、従来の理念体系の中でパーパスがどのような役割を担うべきか、複数のパターンを紹介してきます。こちらも、1つの正解があるわけでなく、自社の理念経営に最も効果がありそうなパターンをイメージしながら読み進めていただければ幸いです。

4−2−1:ミッションにパーパスの要素を入れる

<ミッション→パーパス型>

企業理念体系にパーパスを取り入れるべきという主張の多くは、ミッションをパーパスに置き換える、もしくはミッションにパーパスの要素を取り入れるというものです。

現状では多くの企業が、自社のミッションに社会との接点がない自分たちの使命しか記載していないというのがその理由です。

しかし、ここでも大きな疑問が浮かびます。

 パラドックスがお手伝いをするケースで、実際によくあることですが、すでにミッション=存在意義と定義しているため、パーパスに関する思想がすでにミッションに内包されている場合も多々あります。

そのような場合には、当たり前ですが、無理にミッションを変える必要はなく、改善するとしても、よりパーパスとしてわかりやすい実現すべき社会意義をミッションに加える程度がいいかと思います。パーパスという単語に敏感になりすぎず、社会貢献につながる存在価値があるかを見極め、表現をブラッシュアップするだけで問題ありません。

一方で、上記とは異なり、現状のミッションに全く社会との接点がなく、ある種独りよがりになってしまっている場合は、パーパスの要素を加えるべきです。このようなケースは最もパーパスの恩恵を受けることができるでしょう。

自社がミッションを遂行し、ビジョンを実現した際に、何か世の中の社会課題を解決し、より良い社会づくりに貢献するという自社の存在意義(パーパス)を加えていくイメージしながら追加するといいでしょう。

ミッションに存在意義(パーパス)どころか、要素も入っていない。
→取り組むべき存在意義(パーパス)をミッションに加える。

ミッションに存在意義(パーパス)要素が入っているが、明確ではない。
→取り組むべき存在意義(パーパス)を分かりやすくミッションに加える。

ミッションに存在意義(パーパス)が入っている。
→(あたり前ですが)変更する必要はありません。

4-2-2:ミッション・ビジョンをまとめてパーパスに置き換える

<ミッション&ビジョン→パーパス>

上記のようにミッションという言葉自体をパーパスという言葉に置き換えるという選択肢もあるかと思いますが、ミッションとビジョンの組み合わせで、使命・存在意義&ありたい姿を表現しているケースも多いので、ミッションとビジョンをあわせてパーパスにしてしまうケースも出てきています。 

ミッション・ビジョンにどのような意味と役割を持たせているのかは、企業によって違うので、一つひとつの理念ワードの役割をよく考えながら、理念体系の整理をしてください。

4-2-3:「パーパス型ミッション」と「アイデンティティ型ミッション」

 ミッション内にパーパスを組み込む考え方の参考として、株式会社BIOTOPE代表の佐宗氏が提案している2つのミッションの型「パーパス型ミッション」と「アイデンティティ型ミッション」という分類の仕方が、非常に参考になるのでご紹介させていただきます。 

佐宗氏の理念体系はミッション・ビジョン・クレドで構成されていますが、ミッションとは理想と現状のギャップを埋めるものであり、そこには「自分たちは社会に何を働きかけたいのか」という社会に重点が置かれたものと、「自分たちは社会の中でどうありたいのか」と内面に重心を置かれたもの2つがあるとしています。 

<パーパス型ミッション>

「我々は〇〇を欲す」と社会変革を志すミッション。組織が取る行動に主眼がおかれているので「Do」のミッションと言える。ベンチャー企業など新しい価値提供を通じて、社会変革を目指す21世紀型企業に多い。

 

 

<アイデンティティ型ミッション>

「我々は〇〇であり続けるべき」と社会の中での文化創造や保全を目指すミッション。組織の状態そのものに主眼が置かれているので、「Be」のミッションといえる。伝統的大企業や老舗企業に多く、価値観や文化を大切にする20世紀型企業に多い。 

さらに、佐宗氏によると今後の企業は、創業者が描いた世界観に沿って忠実に活動する組織から、理念を起点にしながらも、一人ひとりが企業のパーパスを自分ごと化し、社会への価値提供アクションに変換していく、いわば“生きた存在意義”を世の中に伝播していく運動体であるべきだとしています。

出典:株式会社BIOTOPE  https://biotope.co.jp/
出典:組織の「存在意義」をデザインする 佐宗邦威著 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文

5:まとめ

さて、今回もここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

今回はこの数年露出度が上がっている“パーパス”というキーワードについて、様々なメディアを横断しながら情報を集め、ビジョンズメディア編集部としての考え方にまとめさせていただきました。 

というのも、メディアや世の中の“パーパス”という言葉の取り上げ方(扱い方?)に、違和感を感じていたというのが理由です。

言葉こそ“パーパス”“パーパスブランディング”という新しいキーワードになっていますが、実際には“人と企業の存在意義を大事にする経営”という意味です。働くことを人間成長の機会として捉えてきた日本では、実は昔から馴染みのある思想であり、特段新しいわけでもなく、ましてや欧米由来の思想でもありません。

確かに近年では、失われつつあるかもしれませんが、働くことで社会課題を解決し、顧客も、世の中も、働く仲間も幸せになるという考え方は、はるか昔から日本の企業経営のDNAに組み込まれています。

 SDGsESG投資、そしてパーパスブランディングといった領域において、改めて思うことは世の中的に(世界的に?)注目されているキーワードやコンセプトだからと言って、全てをそのまま受け入れるのではなく、自分たちの記憶や価値観と重ね合わせて、受け取っていくべきだと思います。

 その上で、できていないことや、発見があれば、どんどん取り入れていくべきでしょう。

 “温故知新” 今回はそんな言葉も浮かんでくる考察となりました。

【出典まとめ】

・ビジネスラウンドテーブル:https://www.businessroundtable.org/business-roundtable-redefines-the-purpose-of-a-corporation-to-promote-an-economy-that-serves-all-americans

・BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る。ボストンコンサルティンググループ編著 日本経済新聞出版

・パーパスマネジメント 社員の幸せを大切にする経営 丹羽真里著 クロスメディアパブリッシング

・ハーバード・ビジネス・レビュー2020年10月号 パーパスブランディング DIAMOND

・株式会社BIOTOPE  https://biotope.co.jp/

・組織の「存在意義」をデザインする 佐宗邦威著 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文

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