企業理念なんてどこも同じ…じゃない!企業価値を高める理念10例

世のため、人のため、持続可能な社会のため。会社が大切にすべきことや、目指すべき方向は、おおよそ同じ。企業理念の重要性は、頭ではわかっているけれど、正直、どの会社も「社会に貢献」とか、「お客さまのために」とか、同じような言葉ばかり掲げている気がする…。

というのが、何を隠そう筆者の本音でした。仕事を通して、理念経営をされているクライアントと出会い、さまざまな会社のコーポレートブランディングに携わることで、自分が間違っていたことを思い知ることとなるのですが…

以前の筆者同様「企業理念って、どこもだいたい同じじゃない?」と、思っている方も、少なくないのではないでしょうか。

本当のところ、どうなのか。どんな違いが、どんな価値につながっているのか。誰もがよく知る有名企業から、今をときめく新興企業まで理念の傾向を探ってみました。

調べるうちに見えてきたのは、「らしさ」が詰まった理念には、「なぜ、自分たちが存在しているのか」というWhyに対するアンサーが、しっかりあるということ。

今回は10の事例にあわせて、これだけはぜひ押さえておきたい企業価値を高める理念をつくる10のポイントをご紹介します!

「企業理念なんて、どこもだいたい…」と思っている方ほど必見!ぜひ最後まで、おつきあいください!

*「企業理念と経営理念は、どう違うの?」という方は、こちらの記事をご覧ください。
→「混同されがちな企業理念と経営理念の違い|それぞれの役割の実例

経営理念と企業理念を同列にしているケースが多いため、本記事では経営理念も、企業理念とひとまとめにしてご紹介していきます。

*パラドックスの定義では、MVVSS(ミッション・ビジョン・バリュー・スピリット・スローガン)すべてをあわせたものを完成された企業理念としています。
→「企業理念とは?100年続く企業になるために必要な企業理念を徹底解説。

ですが、企業によっても定義がさまざまなので、各企業の定義にあわせて、そのままご紹介します。

1.株式会社ニトリの理念/POINT①:ロマンがある。

ニトリと聞くと「お、ねだん以上ニトリ♪」と思わずエアーで口ずさんでしまうのは、私だけではないはず。このコーポレートスローガン、CMのおかげもあって、ものすごく浸透している気がします。

出店数も売上高も、その成長ぶりは皆さんご承知の通り。ブランドの好感度調査でも常に上位にランクイン。我が家の寝具もニトリです(どうでもいい)。

そんなニトリ、企業理念で「ロマン」と銘打っています。店舗数576店のうち、海外の店舗は71店舗(20192月現在)。まだまだ国内が中心ですが「世界の人々に」と、大きくロマンを語っています。

その上で、夢物語で終わらないのも、またニトリ。「ビジョン」では、がっつり経営目標が数値で置かれています。2022年、2032年の店舗数や売上目標まで数字できっちり明言されています。潔い。いささか、潔すぎる気もしますが、シンプルで非常に機能的な、まさにニトリの商品のような理念です。

2.株式会社良品計画の理念/ POINT②:言葉に、ウソがない。

「無印って言ってるわりに、立派なブランドじゃないのさ!」というツッコミ(やっかみ?)もあるくらい、確固たるブランドを確立している無印良品。

商品の魅力のみならず、CSRの観点からも支持をあつめ、「自然、当然、無印」という飾りげのないコピーが、まさにぴったり。

そんな無印良品を企画している株式会社良品計画の理念を見ていくと、これまた飾らない言葉が並んでいます。筆者が特に気になったのは、「地球大の発想と行動」。「地球大」と言っても、ちっとも背伸びしている感じがしない。

むしろ、しっかり地に足がついている。足がつきまくっている。言葉一つひとつにウソがないからこそ、額縁理念で終わらない。これはもう、無印良品のこれまでの取り組みや、積み上げてきた信頼(まさしくブランド力!)によるものなのでしょう。

3.株式会社大創産業の理念/POINT③:応援したくなる。

たぶん人生で1回くらいは、誰もがお世話になっているであろう百均のダイソー。私も何度も救われたクチなのに、すみません。この記事を書くまで、ダイソーの理念をまったく知りませんでした。

ホームページを拝見するに、このコーポレートスローガンは2019年のCI刷新の際につくられた模様。できたてホヤホヤです。

他に理念は見当たらなかったので、この言葉が理念のように今後も機能していくのでしょうか。「だんぜん!ダイソー」。この「!」で、驚きや喜びあふれる百均のお買い物体験を表現しているのでしょう。

短くて勢いがあって、楽しくて。だんぜん、いいです。がぜん、行きたくなります。社内はもちろん、社外の消費者にもしっかり届く、応援したくなる言葉ですね。

4.株式会社マンダムの理念/ POINT④:オリジナリティのある言葉づかい。

企業理念ウォッチャー歴は、そう長くない筆者ですが、仕事柄100200の例は見てきたと自負しております。そんな筆者も、はじめてお目にかかりました。「奔放に大胆に」とミッションでうたっている会社に。

マンダムの理念は、なかなかにユニークにつくり込まれています。込められた意味合いは普遍的なものでも、一つひとつの言葉の選び方、磨き込み方が、やっぱり違う。

「人間系」企業。人財主義。人間尊重。並んでいる言葉を見るだけで、人をとっても大切にしてくれるいい会社なんだろうなと、ビシバシ伝わってくるわけです。

マンダムといえば、代表格はGATSBY(ギャッツビー)でしょうか。なかなかに攻めたCMを打っているイメージもあります。企業イメージを裏切らないユニークな理念。法人としての人格もちゃんと伝わってきて、なんだか好きになっちゃうなあ。

5.ファンケルグループの理念/ POINT⑤: 使命感がある。

ファンケルといえば、無添加化粧品のパイオニア。化粧品による肌トラブルが問題になっていた1980年に、「添加物をいっさい使わず、使う人の肌を美しくする本物の化粧品を」という思いからうまれた会社なのだとか。(実際の創業は1981年)。

だからでしょうか。理念にある「正義感」という言葉がスッと腑に落ちたのです。ファンケルがサプリメントを世に広めてきたのも、青汁や発芽米を世に送り出してきたのも、世の中の「不」を解消するため。

なぜこの事業をするのか、Whyの部分が明確だからでしょう。言葉の一つひとつに使命感がみなぎっています。「もっと何かできるはず」という経営理念にも、個人的にはグッときちゃいました。マンダム同様、ファンケルもまた「人間大好き企業」を標榜しています。「人間大好き企業」って直球だけど、嘘臭さがなくて、いい言葉。

6.ロート製薬株式会社の理念/ POINT⑥:大事なエッセンスは、きちんと残す。

ご安心ください。
コーポレートスローガン「NEVER SAY NEVER(不可能は絶対にない)」の意味を、ロート製薬はこう解説しています。「これは決して“ど根性”で仕事に励む、という意味ではなく、その先の幸せ、誰かのために困難にも当たる覚悟を持つという宣言です」(コーポレートサイトより抜粋)。

ああよかった。
ストレートに受け止めると、ちょっとブラックな香りがしてしまう。このご時世、批判も覚悟でこの言葉を掲げているロート製薬に、わたくしシビれました。

着目すべきは、7つの宣誓の中にある言葉。「驚喜」と書いてオドロキと読ませる。ここに並々ならぬこだわりが、うかがえます。

ちなみに、ロート製薬の以前のコーポレートスローガンは「Happy Surprise よろこビックリ誓約会社」だそう。このへんのエッセンスを、しっかり残して驚喜(オドロキ)という言葉に込めているのかもしれません。ものづくり企業として、驚きと喜びをいかに大切にしているかが、ビンビン伝わってきます。

7.株式会社カドーの理念/ POINT⑦:自分たちは何者か、を言い当てている。

ご存知でしたか?2011年に彗星のごとくあらわれた、新興企業カドー。あらゆる家電メーカーがしのぎを削る空気清浄機市場で、順調に業績を伸ばしている会社です。売り文句は「世界No.1の清浄能力」。

ソニー出身のエンジニアと東芝出身のデザイナーの共同開発でうまれた空気清浄機は、空気の清浄能力において最高品質だとか。と、なんだかカドーの回し者のようになってしまいましたが、フィロソフィーとして掲げられているフレーズは、たったひとつだけ。

「空気をデザインする」。

「Cadoは美しい”空気”と心地よい”空気感”を創出するブランドです」(コーポレートサイトより抜粋)としか説明がありません。

でも、このひとつがカドーという会社のコアをまさに表している。自分たちが何者かが、一言で言い表せている。研ぎ澄まされた言葉だし、伝わるスピードも早い。カドーがうみだす製品のように、洗練されています。

8.株式会社ドウシシャの理念/ POINT⑧:創業の想いに根ざしている。

キラリと個性の光る電化製品や生活雑貨をつくっているドウシシャ。理念もやはり、個性が光りまくっています。面白くないですか。「つぶれない会社を作ろう」って。

そこには実は、ドウシシャならではのエピソードがありました。「当社の創業メンバーは、以前勤務していた会社が倒産し、それにより多くの従業員やその家族、債権者が路頭に迷うという不幸を経験いたしました。

この時、当社会長 野村正治が当時の部下(同志)を集め、『絶対につぶれない会社、働き甲斐やロマンのある会社を作ろう』と呼びかけ、同じ志のもとに集まったメンバーで、1974年に日用雑貨品の卸売業を行う『同志社』(後に今のドウシシャに名称変更を行いました)を創業いたしました。」(コーポレートサイトより抜粋)

「つぶれないロマンのある会社」という言葉、ドウシシャがいうからこその説得力があるのです。社訓で資金繰りに触れているのも、納得です。

9.ダイソン株式会社の理念/ POINT⑨:いい仕事のヒントが詰まっている。

「発明と改善がダイソンのすべてです」公式サイトに書かれたこの言葉、そのものズバリ、ダイソンですよね。日常的なものを再発明して新たに見直す。ダイソンのアプローチを指して「Doing a Dyson(ダイソンする)」という言い方があるくらい。

「掃除機じゃなくて、ダイソンを買いたい!」と指名買いされるあの商品力、ブランド力の秘訣がこの、ダイソンの定理なのかもしれません。いいものをつくれば必ず売れる!とおごることなく「売り方を発明せよ」が2つ目にくるところも、ダイソンらしいです。

この定理のすべては、ダイソンがこれまでトライアンドエラーを繰り返しながら練りこまれた言葉たち。革新的な製品をうみだすヒントが詰まっています。

だからって、これをマネしても明日からダイソンのような製品がつくれる訳じゃあございません。これら一つひとつを、本気で徹底しているかどうか。その積み重ねが差積化につながっているのだと思うのです。

個人的に好きなのは最後の「いいアイデアはほかでも使え」。ボツになったあのコピー、今度ほかでも使おうっと。

*差積化についてはこちらの記事の1-3をご参照ください!
→「時を越えて愛されるブランドを構築するために必要な考え方と実践方法

10.タイガー魔法瓶株式会社の理念/ POINT⑩:語りたくなるストーリーがある。

MVVSS(ミッション・ビジョン・バリュー・スピリット・スローガン)をフルセットで整備しているタイガー魔法瓶。実はこれ、筆者の先輩が関わった、大好きな理念のひとつです。

魔法瓶だからこそできる「温もりの魔法」。この言葉がうまれた背景に、創業のエピソードがあります。

創業者が幼少期、親元を離れて丁稚奉公をしていた頃のこと。「母親が入れてくれた温かなお茶が飲みたい」という思いを募らせたのが、タイガー魔法瓶の原点。ミッションもビジョンもバリューもスピリットも、企業の原点をほりさげて、丁寧に丁寧に抽出された言葉たち。それこそ、他にはマネのできない唯一無二のストーリーが詰まっているのです。こういう理念が、いつかつくれたらいいなあ。

まとめ:どの企業理念にも共通する一番大事なポイント

ここまでオンリーワンな企業理念をつくる10のポイントをご紹介してきましたが、最後に、10のポイントの中にはあえて入れていなかった、一番大事なポイントをご紹介します。

それは、冒頭にもお伝えしたように「Why」の要素が入っているということ。

  • なぜ、自分たちは存在するのか。
  • なぜ、自分たちはこの事業をするのか。
  • なぜ、自分たちはこの仕事をするのか。

この「なぜ?」の問いに答える部分が、企業の使命(Mission)にあたるのですが、どの企業も理念の中で使命をしっかり示しているのです。しかも誰が見てもわかる、明解で力強い言葉で。

Why」の要素が入っていること。これは企業理念をつくる上での大大大前提ということで、ぜひ心にとどめておいていただけたらと思います。

今回は、皆さんに馴染みのあるBtoCの事業を展開している企業のすてきな理念を中心に、ご紹介させていただきました!

次回は、BtoBの事業を展開している、知られざる?企業のすてきな企業理念をご紹介していきたいです!(需要があれば)

それでは、また近々お目にかかれることを楽しみにしています・・!

なぜ、パラドックスがVisionsを立ち上げたのか。

Visionsを運営しております株式会社パラドックスです。
私たちは、この世に生を人や組織にはすべて、
その人や組織にしかできない命の使い方、
つまり使命があるのではないかと思っています。

 この使命のことを、パラドックスでは「志」と呼んでいます。
私たちは、「志の実現に貢献する」というミッション、
「志あふれる日本をつくる」というビジョンを掲げ、
人と企業の志の実現にブランディングで貢献いたします。

 この度は、なぜ私たちがブランディングメディア“Visions”を
立ち上げたのかという想いを下記のページにまとめさせていただきました。
ぜひ、ご覧いただけますと幸いです。