企業理念とは?100年続く企業になるために必要な企業理念を徹底解説。

ビジネスシーンでよく聞く言葉に「企業理念」というものがありますよね。様々な企業のコーポレートサイトを見ると、その多くに企業理念というページがあります。しかし、そこに書いてあることは、企業によって内容にも分量にも差があります。

「一体、企業理念とは何が正解なんだろうか」
「企業理念と経営理念は何が違うのだろうか」
「そもそも、すべての会社にとって企業理念は必要なのだろうか」

企業理念について調べれば調べるほど、こういった疑問が増えている方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな疑問が少しでも晴れればという想いで本記事を書かせていただきました。

たしかに、世の中には様々なスタイルの企業理念が存在しますが、企業理念の本質や構成要素を知りさえすれば、そんなに難しいものではありません。

また、私たち株式会社パラドックスでは、約18年に渡り業界業種問わずたくさんの企業様の企業理念づくりをお手伝いさせていただきましたが、しっかりとした企業理念を策定することは、企業活動においてとても重要になると考えています。

なぜなら、企業理念は企業の長期的発展には必要不可欠な存在だからです。せっかく社会貢献性の高いビジネスをしているのにも関わらず、企業理念がなかったがために、企業の成長が鈍化してしまったり、進むべき方向に迷ってしまったりするのは非常にもったいないです。

本記事をお読みいただければ、企業理念の意味合いや意義、そして作り方の理解がきっと深まると思いますので、ぜひ、最後までお付き合いいただけますと嬉しいです。

1:企業理念とは

世の中には様々なスタイルや意味合いの企業理念が存在しますが、本来の企業理念とは、「企業の存在意義とあり方を言語化したもの」です。

企業も法人と言われるように人格があります。

そのため、

・何のために存在しているのか、
・どこに向かって活動しているのか、
・強みはなんなのか、

といったその企業の人格を形成することが非常に大切であり、その人格形成を担っているのが企業理念ということになります。

しっかりとした企業理念を策定することは、採用領域やインナー領域、カスタマー領域といったあらゆるシーンで、その企業らしく企業活動が行えるといったご利益がありますので、ぜひ、企業理念の理解を深めていただけますと幸いです。

1-1:企業理念とは、企業の存在意義とあり方を言語化したもの

企業理念とは、わかりやすく表すと「企業の存在意義とあり方を言語化したもの」となります。別の言い方で、MI(マインドアイデンティティ)ということもありますが、意味は同じになります。

要するにその企業の思想や使命、志といった根本の考え方・あり方の特徴を言語化したものだと思っていただけると分かりやすいです。

・その企業が何のために存在しているのか。
・どこに向かって企業活動をしているのか。
・その企業の強みはなんなのか?
・日々どういったことを心がけているのか。

といったその企業のあり方がまとまっているのが企業理念となります。

企業理念はその企業のあり方を示しているため、すべての企業活動の意思決定の軸および判断基準となります。

たとえば、企業が新しいビジネスを始める際、そのビジネスで利益が出るか否かだけではなく、なぜそのビジネスを始めるのか、自社が取り組む必然性があるか、自社らしさがあるか、といった企業理念と照らし合わせた判断をすることができるのです。

“スターバックスの例”

たとえば、スターバックスは、設立当初シアトルで単なるおしゃれなカフェではなく、忙しいビジネスパーソンのために、オフィスでも、家庭でもなく、リラックスできる第3の場所づくり“サードプレイス”というキーワードを掲げていました。現在でも、ゆったりとくつろげるソファや音が立たない紙コップの使用など、その思想を店舗やサービスのいたるところに見ることができます。

1-2:企業理念の別名、マインドアイデンティティ

先ほど、企業理念は別名、MI(マインドアイデンティティ)とご説明したのですが、聴き慣れてない言葉かもしれないので、改めてMIについてお話させていただきます。

MI(マインドアイデンティティ)とは
MIとは、文字通り「マインド」の「アイデンティティ」ということで、企業の思想・理念・志といった、企業の根本になる考え方・あり方の特徴を表すものです。全ての企業活動の意思決定の軸となり、判断基準となります。

また、MIと一緒に理解しておくべき言葉に、BI(ビヘイビアアイデンティティ)とVI(ビジュアルアイデンティティ)というものがあります。

  • BI(ビヘイビアアイデンティティ)とは、
    MIが社員やスタッフが実際の行動に紐づくことで生まれた企業独自の行動特徴のことです。
  • VI(ビジュアルアイデンティティ)とは、
    ロゴやブランドカラーなどの視覚的、表現的に企業の特徴を表すもので、
    ブランドマスコットなども、このひとつと言うことができます。

よく、CI(コーポレートアイデンティティ)という言葉を聞くことがあると思いますが、CIとは、このMIBIVIを合わせた総称となります。MIつまり企業理念は、CIの中核を担い、その企業の社員の行動や視覚的表現にまで影響を及ぼす非常に重要度が高い存在なのです。

1-3:企業理念を構成する5つの要素、
ミッション ビジョン バリュー スピリット スローガン

企業の存在意義やあり方を言語化した企業理念(マインドアイデンティティ)は、

  • ミッション(日々果たすべき使命)

  • ビジョン(実現したい未来)

  • バリュー(約束する価値・強み)

  • スピリット(大切にすべき精神)

  • スローガン(ブランドの合い言葉)

という5つの要素から構成されています。

ただ、企業のHPや会社案内などで企業理念のページを見ると、企業理念としてひとつの文言しか載っていない場合があると思います。これは、ミッションやビジョンだけを企業理念としている掲載しているケースがほとんどです。

もちろん、HPにミッション ビジョン バリュー スピリット スローガンのすべてを掲載する必要はありませんが、社内ではこの5つの要素がしっかりと存在していることが大切です。

では、上記5つの要素について、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

1-3-1:ミッションとは、日々果たすべき使命

ミッション ビジョン バリュー(以下、MVV)の並びの中で中心にあるのが、ミッションです。ミッションを一言でいうなら、「日々果たすべき使命」。過去、現在、未来に渡って日々果たしていることが、ミッションになります。

ミッションは、SEEDSNEEDSの重なる場所に存在しています。

“SEEDSとNEEDS”

①SEEDS :ブランドらしさ・価値観を紐解く。

企業にも「人格」がありますので、
まずは、その企業やブランドがどんなキャラクターなのかをつかむことからはじめます。
そのためには、創業者および経営者そしてブランドの歴史をしっかりと紐解くことが大切です。

多くの企業には、創業から数々のドラマを経て「今」があります。
どんな想いでここまでビジネスをやってきたのか、
また大きな岐路に立たされたとき、どんな価値観で、どんな意志決定をしてきたのか、など。

いわゆる「意志決定の基準」を明確にする作業を通して、
そのブランドの「らしさ」や「強み」を浮き彫りにし、
独自のストーリーづくりの土台とします。

 

②NEEDS:社会・時代の課題・要請と紐づける。

どんなに世の中が進歩しても、常にたくさんの課題が存在します。
また、テクノロジーの進化によって、課題が解決されたとしても、
それは次の課題を生み出します。

社会が進化し続ける限り、課題は生まれ続けます。
その課題解決をしていくのが、商品やサービス、企業の使命です。

SEEDSの観点では、それぞれが保有する企業やブランドの「らしさ」や「強み」を紐解き、NEEDSの観点で世の中のどんな課題を解決しているのか、解決しうるのかを探り、その接点の中にあるミッションを見つけていきます。

1-3-2:ビジョンとは、実現したい未来

ビジョンとは、ミッションを日々遂行することで企業として辿り着きたい「実現したい未来」であり、自分たちが目指している未来の姿です。自社だけの未来ではなく、自らのビジネスを通じてどのような社会を実現させたいかという社会的意義や価値貢献といった「世の中との接点」を持ったものです。

1-3-3:バリューとは、約束する価値・強み

バリューとは、その企業やブランドがマーケットやお客様に提供している、そのブランドにしか生み出せない独自の価値や強みのことです。

たとえばスターバックスでは、以下の4つのバリューを設けています。

“スターバックスのバリュー”

  • 「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。」

  • 「勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。スターバックスと私たちの成長のために。」

  • 「誠実に向き合い、威厳と尊厳をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。」

  • 「一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます。」

こちらを見ても、バリューがお客様に対して約束する価値であることが分かると思います。また、バリューを検討する上で、大切なのが誰に向けてのバリューなのかを整理することです。たとえば、会社のお客様、パートナー様、社員のように、ステークホルダーを分けて考えると上手に整理することが可能です。

1-3-4:スピリットとは、大切にすべき精神

スピリットとは、ミッション・ビジョン・バリューを実現するため、組織に属する一人ひとりが日々どう考え、どう行動すべきか、という心がけや行動の指針を表したものです。スピリットは、「行動指針」「クレド」と言い換えられる場合もあります。

1-3-5:スローガンとは、ブランドの合い言葉

スローガンとは、その企業・ブランドのミッションやビジョンをマーケットやお客様に向けて、「らしさ」をふまえながら、分かりやすく伝えるための合い言葉になります。

ミッション ビジョン バリュー スピリット スローガンについては、
下記の記事にも詳しく記載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

→「企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方
→「企業の進むべき道が定まる!超実践的なビジョンの知識と作り方

ここまでのご説明を一旦整理すると、企業理念とは企業の存在意義とあり方を言語化したものであり、別の言い方をするとMI(マインドアイデンティティ)ということができます。

そして、企業理念は「ミッション ビジョン バリュー スピリット スローガン」の5つの要素で構成されています。

いかがでしょうか?
企業理念への理解が少しでも深まっていましたら幸いです。

1-4:よい企業理念の例

一通り企業理念をお話させていただいたところで、実際の企業の企業理念を紹介させていただきます。「ミッション ビション バリュー スピリット スローガン」が実際どのようなものなのかをご覧ください。

【タイガー魔法瓶株式会社様の企業理念】

【b-monster株式会社様の企業理念】

1-5:企業理念と経営理念の違いは、「存在の理由」と「経営の方針」

企業理念とよく似た言葉で経営理念という言葉があります。ビシネスシーンでよく見かける言葉ですが、その違いを明確に説明するのは意外に難しいですよね。

そもそも「理念」とは、「特定の物事に関する根本的な考え方」を指します。つまり「〇〇理念」といえば、「〇〇における根本的な考え方」を示すということです。

すると、企業理念と経営理念は下記のように整理することができます。

  • 企業理念:企業という存在における根本的な考え方

  • 経営理念:経営の進め方における根本的な考え方

もう少し具体的にしてみましょう。

企業理念とは、先ほどのご説明したミッションやビジョンにもある通り、自分たちがなぜ存在しているのかという理由や目的、誰にどんな価値を提供し、世の中の人々を幸せにしていくかを宣言しているものが企業理念となります。

 一方の経営理念とは、事業・顧客・利益を拡大し続けるための目標や方針。つまり、経営上でどのような目標を定めるか、その目標に向けてどんな手段をつかうのかを定めた言葉です。

ですから、経営者が変われば経営の方針も変わり、経営理念も変わる可能性があります。「成長をいかに続けるか?」という観点も含まれるため、事業や顧客、利益の拡大を続けるための方法を示した言葉となる場合もあります。

1-6:企業理念と社訓・社是の違いは、指している範囲の違い

企業によっては企業理念や経営理念という言葉ではなく、「社是・社訓」という言葉を使っている場合もありますが、企業理念と社是・社訓は全く同じ意味なのでしょうか?

結論から言うと、企業理念と社是・社訓は同じ意味ではありません。企業理念と社是・社訓は意味は被っているのですが、企業理念に比べて社訓・社是の方が示している範囲が限定的という違いがあります。

ややイメージしにくいと思いますので、具体的にご説明していきます。

“社是とは”

まず社是についてなのですが、企業によって様々なニュアンスがあると思うのですが、
言葉の意味的には「会社が是(正しい)とする考え方」と定義することができます。
つまり、会社としてあるべき姿になりますので、
企業理念を構成する5つの要素であるミッション(日々果たすべき使命)と
近いニュアンスになります。

“社訓とは”

もう一つの社訓は、社員がその企業で働く上で心に留めておくものや
守るべき行動と定義することができます。
つまり、社員が大切にすべき精神となりますので、
こちらは企業理念を構成する5つの要素のスピリットと近いニュアンスになります。

改めて整理すると、社是と社訓はミッションとスピリットと近い言葉であるため、企業理念の一部ということができます。ただ、ビジョン バリュー スローガンがあって、完璧な企業理念となるので、社是と社訓のみを持っている企業はビジョン バリュー スローガンを検討することもおすすめです。

2:企業理念を持つ意義

企業理念を策定することは、企業にどんな価値があるのか?こちらをお読みいただければ、すべての企業にとって、なぜ企業理念が必要なのかがお分りいただけると思います。

2-1:企業理念の本質は、企業価値の安定供給および企業の長寿化

企業理念を策定することの本質的な価値は「世の中の課題を解決する」「人々の生活を豊かにする」といったその企業が世の中へ提供している価値を安定的に供給し続けることを可能にすること、およびその結果としての企業の長寿化です。

企業が10年、50年、100年と世の中に価値を発揮し続け、存続していくためには、しっかりとした企業理念が必須となります。

たとえば、樹齢1000年の木を想像してみてください。なぜ、この木は1000年も生き続けられるのでしょうか。それは、根っこや幹がしっかりしているからです。企業も同じであり、まずは根幹をしっかりと定義することが大切なのです。

もちろん、枝や葉も立派な木には不可欠な要素です。松尾芭蕉の言葉に「不易流行」という言葉がありますが、「不易」とは変えてはいけないアイデンティティ、つまり木の幹と捉えることができます。一方、「流行」はその時々に合わせて変えていくべきもの、つまり木の枝や葉になります。

▲「幹、根」が変えてはならない企業の使命や価値観、「葉・花・実」が変えていくべき日々の活動。このふたつをどちらも大切にすることで、長期的利益を得ることができます。

不易流行については、下記の記事に詳しくまとめております。
→「長く続く経営をするために知っておきたい、不易流行の考え方やその大切さ。」

不易と流行のどちらもが大切で、その両方を意識した経営が長期的な利益に結びつきます。そのため、変わらない不易を踏まえた上で、流行は日々PDCAを回していくことが必要ですが、近年は変化のスピードが早いがため、流行の部分を追い求めがちです。

しかし、何のためにこの企業は存在しているのか、何のためにこのビジネスを行っているのか、という根っこがしっかりと定まっていないと、やがて葉も枯れてしまいます。企業理念という企業の不易となるアイデンティティを言語化することは、企業活動を長期的視点で見たときにとても重要になってくるのです。

2-2:企業理念は社員共通の行き先を示し、企業の進化を促す

企業理念を策定する意義のふたつ目は、企業理念が社員共通の行き先になるという点です。企業理念の5つの要素であるミッション(日々果たすべき使命)とビジョン(実現したい未来)が、特にこの役割を担っています。

企業活動においては、日々、様々な社員が様々な仕事をし、時には新しい事業が生まれることもあると思いますが、一人ひとりの社員の中でいまやっているこの業務が、結果的にどこに辿り着くのかをイメージできているか否かは、成果に大きな違いが出てきます。

たとえば、「甲子園で優勝しよう!」と掲げていない野球チームが実際に甲子園で優勝するこが有りえないのと一緒です。この場合の「甲子園で優勝しよう!」とは、部員みんなの共通の行き先になっているのです。

企業で考えてみましょう。たとえば、Appleには「テクノロジーを介して何百万人もの人の生活を変える。」という全員共通の行き先があるので、新しいテクノロジーを駆使したデバイスやサービスが次々と出てきて、人々の生活に変革をもたらしているのです。

企業理念がある会社とない会社では、一人ひとりの仕事や組織のあり方に大きな違いがでてきます。企業理念が存在しない組織は存在意義や大目的を見失いやすくなるため、既存の状態で硬直化し、社会適合性を失ってしまいます。一方で、しっかりとした企業理念があると、組織は柔軟に変化し企業はどんどん発展していきます。

“企業理念のある企業/ない企業”

<企業理念のない企業>

企業理念の不在→脱皮姿勢の欠如→組織の硬直化→社会適合性の喪失→市場価値の喪失→収益力の喪失→資金欠乏→倒産

<企業理念のある企業>

企業理念の存在→変化前提→組織の柔軟化→社会適合力の向上→市場価値の向上→収益力の向上→未来投資→発展

もちろん、どの会社も最初からうまくいくようにはできていません。むしろ、何もしなければ、なくなってしまいます。実際に、全法人(およそ255万社)のうち、設立5年で85%217万社)が消滅、10年以上存続する企業が6.3%20年以上存続する企業は0.3%というデータがあります。
(データ参照元:法政大学大学院坂本光司研究室と鎌倉投信による「価値のある企業の指標の策定に関わる共同研究会」調査)

みんなが共通して目指している行き先があると、行き方は複数あるかもしれないですが、必ずたどり着くことができ、企業の進化に寄与するのです。

2-3:企業のストーリーが広がることで、その企業のファンが増える

みなさんは、ゴールデンサークル理論をご存知でしょうか?

イギリスの組織コンサルタントであり作家のサイモン・シネック氏がTEDで語ったのがゴールデンサークル理論なのですが、これによると人に何かしらの情報を伝え、行動を促したい時に、「WhyHowWhat」という構成要素が存在し、「Why」から伝え始めることの重要性を説いています。つまり、人は「何をしているか」ではなく、「なぜ、それをしているか」に心を動かされるという理論です。

ゴールデンサークルを企業に当てはめて考えると、自社のことを誰かに話すとき、提供している具体的な商品やサービスから語りがちですが、それは「What」の部分から語っているということになります。

そうではなく、その企業がどうして存在していて、どういう世界をお客様に見せるのか、という「Why」から伝えることが重要です。そんな企業のWhyの部分を担っているのが企業理念になるのです。

実際に、iPhoneを使っている人は、もちろん製品自体に魅力を感じていると思いますが、Appleやスティーブジョブスの考え方や企業理念といった、AppleWhyに共感している人も多いのではないでしょうか。

企業のWhyが伝わると、その企業やブランドの価値を共に創り、一緒に育ててくれるようなブランドパートナーが増えていくのです。

ブランドパートナーについては
時を超えて愛されるブランドを構築するために必要な考え方と実践方法
の記事にもまとめてありますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

3:企業理念を採用・インナー・カスタマー領域に展開

企業理念は組織の長寿化や進化に大きく貢献してくれますが、企業理念を策定するメリットはそれだけではありません。採用(対求職者)、インナー(対社員)、カスタマー(対顧客)といった様々なシーンで、企業理念は力を発揮します。

3-1:企業理念を採用領域に展開すると、同志が集まる

みなさんは、「採用ブランディング」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?最近、採用シーンでよく飛び交う言葉でもありますので、聞いたことがある方も多いかもしれません。

では、実際に採用ブランディングとは一体どういったものなのか。採用ブランディングとは、まず採用コンセプトをつくり、それに基づいてツール作成やインターン、説明会などを行う、一貫した採用コミュニケーションのことを指します。

そして、採用ブランディングにおいて一番重要になる採用コンセプトこそ、企業理念を起点に考えるものなのです。そもそも、その企業はなんのために存在し、どのような価値を提供し、どんな未来を描いているのか、といった内容を採用コンセプトに落とし込んでいくと、その企業にしか語れない採用コミュニケーションが可能になります。

現在、採用シーンでは様々な課題が存在します。

たとえば

「エントリー数の減少」

「ターゲット学生と出会えない」

「内定辞退率が下がらない」

といったことを感じている人も多いのではないでしょうか。

毎年、変化の波が訪れる採用シーンにおいて、そのトレンドに乗り遅れないように対応することも、もちろん大切です。ただ、数年変わらない「軸」、すなわち採用における不動のメッセージを確立できれば、変化の激しい採用トレンドに必要以上に流されず、その企業らしい採用活動を続けていくことが可能になります。

そもそも採用活動とは、会社を共に成長させる未来の「同志」を見つける活動です。その企業がどんなビジネスをしているかというWhatの観点も重要ですが、この企業がなぜそのビジネスをしているのかというWhyの観点、つまり企業理念に込められている想いを伝えることも大切であり、それは求職者の心を動かします。リクルートの意識調査を見ても、いまの学生の就職先を確定する際の決め手の6位は、「会社・団体の理念やビジョンが共感できる」となっています。

3-2:企業理念をインナー領域に展開すると、企業のビジョン実現に近づく

企業理念を策定することはもちろん大切なのですが、それと同じくらい重要なのが、企業理念が社員に浸透しているかどうかです。

なぜか?

それは、企業理念の中には、企業が目指す未来であるビジョンがありますが、そこに向かうためには、そこで働く一人ひとりの意識やパフォーマンスが重要になるからです。

会社が向かいたいベクトルがあるにも関わらず、個人個人は違う方向を向いていたり、そもそもそこで働くことをよしと思っていなければ、当然思った方向に進んではいきません。

近年SNSにより、従業員やアルバイトスタッフの不適切行動が世の中に出ることが多くなりましたが、その多くが企業理念や企業らしさの不理解による、その企業で働くことへの誇りや自覚の欠如といえます。

実際にパラドックスにもそういった悩みを抱える企業様からお問い合わせをいただくこともあり、理念策定および浸透などを通して改善のお手伝いをさせていただいております。

逆に、しっかりとした企業理念があり、そこで働く人たちも誇りをもっている中身の伴った企業でさえあれば、着実に世の中から信頼を得ることができるともいえます。

社員一人ひとりが企業の存在意義を理解すると、日々の仕事のパフォーマンスにおいても意識の変化が起こります。たとえ話として、有名経営学者ドラッカーのこんな話があります。

ある教会の建設現場で、全く同じ作業をしている4人のレンガ職人がいました。

あなたは、「何をしているんですか?」と彼らレンガ職人に尋ねました。

すると、一人目は「食べるために仕方なく働いている」と答えました。

二人目は手を休めずに「職人としてレンガの壁をつくっている」と答えました。

三人目は目を輝かせて「国で一番の教会を建てている」と答えました。

最後に、4人目が「私は国民の心のよりどころをつくっている」と答えました。

まずは企業理念をしっかり策定することが大切ですが、それで終わらず、その企業の社員一人ひとりが企業理念を理解・共感、実践、実感することではじめてビジョン実現にむけて企業理念は力を発揮します。

3-3:企業理念をカスタマー領域に展開すると、商品・サービスが唯一無二なものになる

テクノロジーの進化に伴い、情報が溢れる現代社会において、人々の嗜好も多様化し、マーケットの変化もこれまで以上に激しくなっています。

ここまで、企業理念によってその企業にしか言えない「存在意義」や「あり方」を明確にすることの大切さをご説明してきましたが、同じようにその企業が世の中に提供している商品やサービスにも独自の「存在意義」や「あり方」が必要になります。

その製品の良さをただ列挙するだけでは、コモディティ化が進む現代において多くの競争相手の中から選んでもらうのは難しい状況です。

どんな、ブランドであれ商品であれ、世の中から選ばれているものには、「社会・時代の課題・要請」に応えるその商品にしか言えない使命やストーリーがあります。

たとえば、スマホ市場で人気を誇るiPhoneを考えてみましょう。もちろん、iPhoneの性能やデザイン自体、素敵なものですが、他のデバイスではなくiPhoneでないといけない絶対的理由はなんでしょうか?

それは、Appleがどのような歴史およびストーリーを持っている企業なのか、そして創業者であるスティーブ・ジョブズの考えに惹かれている人も多いのではないでしょうか。

このように、ストーリーを言葉にして商品の軸にすることは、その商品を唯一無二の存在にしてくれます。ただ、ストーリーはなにもないところからは生まれません。

このようなミッションを掲げ、このような未来を目指している。というような明確な企業理念が存在するからこそ、商品のWhyを話すことができるのです。

4:企業理念の作り方

企業理念をつくるということは、つまりミッション ビジョン バリュー スピリット スローガンの5つを言語化するということになります。

ただ、ミッション ビジョン バリュー スピリット スローガンは闇雲に策定すればいいというものではありません。しっかりと準備し、正しい方法で策定しないと、効果を得ることはできません。

私たちパラドックスがおすすめする企業理念の策定方法は、複数の社員でセッションを行う形式です。

なぜ、セッション形式が一番いいのか。それは、企業理念は社員みんなのものであるからです。

たとえば、ディズニーランドには、以下の理念とそれを支える行動指針があります。

-理念

「幸せを提供する」

-行動指針

「安全性、礼儀正しさ、ショー、効率」

この理念や行動指針を会社全員で理解しているからこそ、現場でキャスト一人ひとりがホスピタリティのある行動ができるのです。

具体的なセッションの準備および一番スタンダードな10ROUNDで行うセッション形式については、下記コンテンツの4章にまとめてありますので、ぜひこちらをご覧いただけますと幸いです。
→「企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方

5:まとめ

最後にもう一度整理しますと、

企業理念とは、「企業の存在意義とあり方を言語化したもの」であり、別名はマインドアイデンティティ。BI(ビヘイビアアイデンティティ)、VI(ビジュアルアイデンティティ)と共に形成されるCI(コーポレートアイデンティティ)の中心を担います。

また、企業理念とはミッション ビジョン バリュー スピリット スローガンの5つの要素から成り立っており、5つ全てを策定することが大切です。

企業理念は策定する本質は企業の長寿化です。その他にも企業の進化やファンを獲得することも期待できます。また、対社内はもちろん社外にも採用にもたくさんのメリットがあるのです。

企業理念とは、企業の根幹を担うものです。やがて大きな木に育つことを見据え、しっかりとした幹をつくっていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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