感情を動かし、心を掴むブランディング動画をつくるには?

「ブランディングツールとして、これまでに冊子やウェブサイトはつくってきたが、さらにより多くの人たちと、ロジックとエモーショナルという2つの側面から、より早いコミュニケーションするためにブランディング動画をつくりたい。」

近年、このようなご相談を受けることが増えています。実際に、世の中にあまたあるブランドの多くが、自社ブランドのWEBサイトやSNS上で動画を効果的に活用しています。動画はいまや、ブランディングに欠かせない表現手法です。

最近では、ブランデッドエンターテイメントという言葉も注目されています。まるで良質なエンターテイメントを顧客に楽しんでもらうかのように、企業のブランディング全体を設計することも増えていますが、その中心的な役割を担っているのがブランディング動画です。

コロナ禍の影響もあり、オンライン上での使い勝手の良い動画の需要は高まり、ブランディング動画を軸にした社会とのコミュニケーションは、今後も企業や商品、サービスなどさまざまなブランディング施策における潮流となっていくでしょう。

自社のブランディングに課題を感じ、ブランディング動画を選択肢のひとつとして今まさに検討している方。今回はブランディング動画をつくる際の考え方や動画の役割、そして一般的な制作フローまでを通じて、心と頭を動かす効果的な動画をつくるためのポイントをご説明していきます。

1:1本の動画が秘める圧倒的なチカラ

テレビをつける代わりに、スマホでYouTubeを見る。あるいはNetflixやamazon primeを見る。当たり前のように、多くの人がインターネット上で動画を視聴する現在。企業のブランディングツールとしても、動画は欠かすことのできないコミュニケーション手段のひとつになりました。

各社のブランドサイトを検索すれば、トップページに動画が組み込まれているサイトが、いくつも検索でヒットするように、いまやブランディングに動画を活用していない事例を探す方が難しいかもしれません。ユニークな動画で火がついて、知名度をあげたブランドや、ファンを獲得したブランドも数多くあります。

なぜ、動画にそこまでのチカラがあるのか。それは「情報量が圧倒的に多い」という利点があるから。一枚の写真よりも、ほんの数秒であっても映像のほうが、目や耳に入る情報量がはるかに多いのです。

参考として、動画には写真の数千倍の情報量があり、1分間の動画にはウェブ3600ページ、約180万単語に匹敵する情報量があると言われています。

さらに動画には、より人間の感性に直接働きかける効果もあります。

例えば、肉が美味しそうに焼かれている写真は、もちろん魅力的です。しかし、想像してみてください。パチパチとはぜる炭火。ジュウジュウという音。もくもくと煙が立ち込め、肉が焼き上がっていく様子。

当たり前の話ですが、シーンが連なり、変化していく動画は、写真よりも多くの情報を人間の五感に訴えかけ、人の心を動かすことが非常に得意な媒体なのです。

2:動画はなぜ、ブランディングに欠かせないのか

前の章では、動画がいかに雄弁かについてお話してきましたが、ここでは動画がいかにブランディングに欠かせないかについて、ご説明していきます。

ブランディングをする上で重要になってくるのは、世界観。ブランド「らしさ」を表現するキービジュアルやトーン&マナーの統一感やストーリー性が重要になってきます。

この世界観を表現する上でも、動画は有効です。たとえば、誰もがよく知るポカリスエットなら、CMでお馴染みのさわやかな青空や、青春真っ只中の女子高生がパッと思い浮かぶように。映像によって刷り込まれたイメージというのは、一度定着すると強く記憶に残ります。

みなさんも子供の頃に見て、いまだに鮮明に覚えているCMが少なからずあるのではないでしょうか。

上記のようなポカリスエットの世界観は、ブランド自体のファンを獲得するだけでなく、「夏の暑い日に飲むなら、ポカリ」「部活なら、ポカリ」といったイメージを定着させることによって、購買促進にも大きく貢献していることでしょう。

さらに動画はリアリティをもって事実を伝えるだけでなく、夢のあるストーリーを魅力的に伝えることもできます。実写では表現しきれないような内容であっても、イラストやアニメーション、CGといった手法を駆使することも可能です。

さまざまな表現技法をもとに、そのブランドにしか語れないブランドストーリーを効果的に伝える上でも、動画の可能性は多岐に渡ります。

動画の特性を活かして、ブランドの魅力を発信するブランディング動画がひとつあれば、雄弁なエバンジェリスト(伝道師)を一人味方につけたのと同じこと。さらに、動画というエバンジェリストはインターネット上を自由に駆け巡る「機動力と拡散力」も持っています。

1本のブランディング動画は、トークのうまい販売員やセールスパーソンの何十人(あるいはそれ以上)の働きをしてくれると言っても、過言ではないでしょう。多くの企業がこぞってブランディング動画をつくりたがるのも、頷けるはずです。

3:目指すべきは、お金を払ってでも見たいコンテンツ

ブランディング動画をさらに価値あるものにする上で、キーワードとなってくるのが、先述したブランデッドエンターテインメントという考え方。読んで字のごとく、エンターテインメントとして成立するくらいの魅力を有したコンテンツのことを指しています。

できることならスキップしたい「広告」ではなく、お金を払ってでも見たくなるようなエンターテインメント。そのレベルにまでコンテンツを昇華させることができれば、企業側の一方的なコミュニケーションではなく、受け手側の共感や感動を呼び、受け手側が発信、拡散するといった双方向のコミュニケーションが生まれていきます。

もちろんエンターテインメントのレベルまでコンテンツを磨き上げるというのは、容易なことではありません。しかし、動画の特性である圧倒的な情報量を活かし、ストーリー性と世界観をつくり上げることができれば、想像以上の価値を相手に届けることができるのです。

そして、視聴者の心を動かすことができれば、さらなる拡散が発生します。エンターテインメント性が高く、嬉しさや楽しさに触れる動画は、直感的にシェアされる傾向があり、重いテーマを扱った動画よりも、若い世代では拡散障壁も低い傾向があります。

ブランディング動画の制作を検討する上で、「エンターテインメント」として成立するかどうか、という観点は今後ますます重要になっていくはずです。

4:動画をつくる上で押さえておくべきこと

では、効果的なブランディング動画をつくるうえでポイントとなることは何でしょう。それは動画の目的とターゲットにいだかせたい読後感です。

実制作を外部に依頼する際にも、必ず社内で議論を重ねて、誰に届けたいのか、何を伝えたいのか、共通の認識をつくっておく必要があります。

ここでは、パラドックスがよく使うスキーム、「WHY」「WHO」「WHAT」「HOW」に加えて、エンターテインメントならではの「WOW」と、どのメディアを使うかという「WHERE」の5つから考えていきましょう。

「WHY」なぜ動画をつくるのか

まずはじめに、動画をつくる目的を明確にしましょう。新規の顧客獲得や、採用におけるPRなど、複数の目的がある場合も、もっとも達成すべき目的が何か、優先順位をはっきりさせておきましょう。

後々の制作過程でも振り返られるように、この動画が必ず解決すべき課題は何か、という問いからスタートさせることが肝心です。

「WHO」ターゲットは誰か

動画の目的を明確にすることで、自ずとターゲットが定まってきます。ターゲットを一人のペルソナにまで絞り込むことは難しいかもしれません。けれども、誰からも好かれようとしていては、結果的に誰からも本気で好きになってもらうことはできません。

動画を見てほしい人がどんな人なのか、どんな悩み、あるいはどんな期待を胸に秘めているのか。徹底的に考えぬくことが重要です。賛否両論が起こるコンテンツほど、届いた人の心には残るものとなります。

「WHAT」何を伝えるか

WHYとWHOをはっきりさせたところで、次に固めるべきは何を伝えるか、がポイントです。ブランディング動画において伝えたいポイントは、そのブランドの核となるメッセージに集約されているはずです。

ブランドのステートメントや、ストーリーが定まっていない場合は、動画制作のために新たに定義しておきましょう。綺麗な言葉でまとめる必要はありません。箇条書きにしてもよいでしょう。その際、WHYとWHOと照らし合わせながら本当に目的達成につながるか、ターゲットに響くかを、考えておきましょう。

「HOW」どのように伝えるか

WHY、WHO、WHATが固まったら、ここからようやく表現の手法について議論していきましょう。動画をつくり慣れていない場合、よくあるのがHOWから議論を始めてしまうケース。

「とりあえずドローンを飛ばして」とか、「あのCMみたいにかっこいい動画に」等々。お手本となる動画が世の中にあふれているからこそ、どうしても表現の議論になりがち。そうなると、個人の好みや主観に大きく左右されます。けれどもここまで、WHY、WHO、WHATを固められていれば、HOWを考えるうえでブレません。外部に依頼する場合は、前段を伝えた上でHOWの提案を依頼しましょう。

「WOW」驚きや発見、感動があるか

HOWにも通じる部分ですが、心をくすぐる動画には、WOWな要素が不可欠です。どんなにロジカルに説明したところで、人の心は動きません。頭ではなく心に、左脳ではなく右脳に、働きかけるWOWな要素が必要です。

さきほどの焼肉の例でも、肉の部位の説明や産地の説明よりも、肉が美味しそうに焼ける様子を見せた方が、圧倒的に「食べたい!」気持ちをつくるように。ロジックを固めた上で、そのロジックすらも飛び越えてしまうようなWOWがあると、ブランディングにおいて力を発揮する動画になるでしょう。

「WHERE」どこで使うのか

WEBやSNSによって、ターゲットに動画を届ける選択肢は広がっています。しかし、使用できるメディアがたくさんあるからといって、ひとつの動画をそのまま他のメディアに展開できるとは限りません。

同じSNSにしても、Facebookに適した動画と、Instagramに適した動画は、見られる時間もシチュエーションも異なります。伝えたい内容によっては、モバイルとPCを組み合わせるといった設計も必要になってきます。

最近では、YouTubeのような動画プラットフォームに動画を格納し、そこから自社のブランドサイトやコーポレートサイトのTOPページなどに展開しているケースが増えています。

さらに、イベントやセミナーなどのオープニングやエンディングの映像として活用したり、店舗・オフィスのサイネージなどで上映するなど、オンライン・オフラインの場をまたいで使用している上手な展開例もよく目にします。

メディアごとの特性を理解しながら、伝えたい内容にふさわしいユーザーへのリーチの仕方を考えてみましょう。

5:目的別のブランディング動画 – ポイントと事例をご紹介

ここでは、エンターテイメント性のあるものだけでなく、ブランドとしてのメッセージを伝えるものや、共感を呼ぶもの、インナーブランディングにおいて効果を発揮するものなど、さまざまなタイプの動画の具体的な例をご紹介します。

5-1: ブランドの理念・世界観を伝える

WELCOME ブランドコンセプトムービー

目的:
理念を起点に実現したい世界観を社内外に伝える。

ターゲット:
見込み顧客・学生

HP上でも掲載されていますが、会社説明会などでも活用されています。各ブランドのエッセンスを伝えるシーンで丁寧に構成されており、グループ全体の繋がりを通じて、社会に価値提供をしていく姿勢を表現しています。

5-2: ブランドロゴに込めた意味を伝える

愛隣会 ロゴムービー

目的:
コーポレートブランディングによるロゴ変更の際に、ロゴに込められた意味を社員に紹介する。

ターゲット:
職員とステークホルダー

ロゴの刷新に加えて愛隣会が目指すべき方向性や大切にすべき考え方への理解が深まり、インナーブランディングにおいて効果を発揮しています。

5-3: 採用メッセージを訴求する

日鉄鉱業 採用コンセプト動画

目的:
入社後のギャップによる離職率という課題解決に向け、入社後のリアルを伝える。

ターゲット:
学生

仕事現場のスケールの大きさと、そこに流れる壮大な時の流れを伝えることで、ミスマッチが改善され、「大きな人になろう。」という採用コンセプトも多くの学生に支持されています。

5-4: インナーブランディングとしてビジョンを浸透させる

愛隣会 パレードムービー

目的:
実現させたい社会のあり方を具現化し、働くメンバーのベクトルを合わせる。

ターゲット:
職員

動画の制作段階からクライアントのメンバーの方を巻き込み、一緒につくりあげることで組織の目指す方向への共感とともに、理念の浸透活動にもつながりました。

5-5: 周年を記念する

川崎重工業 神戸・第1番ドックヒストリー動画

目的:
川崎重工業の礎を築いた神戸・第1番ドックの閉鎖にあたり、歴史を振り返りながら、新しい時代の船出を表現していく。

ターゲット:
社員、パートナー、地元の方々

第一号ドック閉鎖記念日に来場者に向けて上映。ドック閉鎖を惜しむ方々にとってメモリアルなムービーとなりました。社員に対しては、ドッグ閉鎖が新たな時代の幕開けとなり、先人のチャレンジ精神を、次は自分たちが引き継いでいかなくてはいけないという思いが高まりました。

5-6:商品・サービス・製品情報を伝える

川崎重工業 ドクターヘリ紹介動画

ドクターヘリコンセプト動画

1分でわかるドクターヘリ

目的:
川崎重工業が製造するヘリコプターへの認知が低いことから、認知度の改善をはかり、ドクターヘリの意義を伝える。

ターゲット:
川崎重工業の事業・製品に対するイメージがない人々

これまであまり周知してこなかったドクターヘリに関して短いアニメーションや、提供価値を伝えるコンセプト動画を通じて情報発信をすることで、川崎重工業と社会との接点を伝えています。

6: 知っておきたい動画制作のプロセス

6-1:要件意義

第3章でもご説明したように企画の骨子を固めるのが最初のスタート。WHYからWHEREまでの方法を定めていきましょう。最終的に外部制作会社に発注する場合でも、少なくとも、誰に、何を、なぜ伝えるのかという点について定めておくだけで、最初のオリエンテーションや打ち合わせがスムーズになります。

6-2:パートナー探し

WEBやSNSの登場によって、メディアの媒体費が必要ない場合も増え、広告代理店ではなく直接映像制作会社(プロダクション)に動画制作だけを依頼するケースも増えています。

小さくとも小回りが利き、クオリティの高い映像を作れるプロダクションも増えているので、以前よりは予算的にも気軽的に映像が作れるようになりました。実際に会ってみて、自分たちのやりたいことを理解した上で、最善のアウトプットを追求し、最後まで手伝ってくれるパートナーを探しましょう。

6-3:スケジュールと予算

もちろん内容にもよりますが、企画から納品までは、最短でもだいたい3ヶ月程度みておく必要があるでしょう。関わる人が増えれば増えるほど、制作期間が伸びれば伸びるほど、当然予算も増えていきます。

動画の価格は、プロダクションや企画・演出にもよるので一概にはどのくらいかかるかは明言できませんが、30万円ほどで撮影できるインタビュー動画から、数千万円かかるコンセプト動画まで、世界観に合わせて大きな予算の幅があるのが動画の特徴です。

また、有名・無名関わらず、モデルやタレントを起用する場合は、初回のお契約費に加え、毎年の更新費もかかるため、WEB動画など掲載期限がない動画を作る際には気をつけましょう。

外部に委託する場合は、ご予算をあらかじめ伝えておいたうえで、予算内でのベストな提案を依頼するといいでしょう。

6-4:制作フロー

動画制作の一般的な流れとしては、オリエンテーションを踏まえて、ストーリーの構成を絵コンテという漫画のコマ割りのような資料でストーリーの大枠を決めていきます。
※絵コンテの前に、文字だけでストーリーを組んだ字コンテを作成する場合もあります。モデル、タレントを使用する場合はこの段階でオーディションを行います。

その後、絵コンテに動画の演出表現(動きのイメージ)を加えた演出コンテを作成し、BGMなどの音楽のイメージもあてていきます。

コンテが固まったら、撮影前の準備(ロケハン、スタジオの手配など)を行い、実際の撮影にうつります。
※全編イラストで構成する場合など、撮影が不要なケースもあります。

撮影後、最近ではPCなどで大枠のストーリーをつくる仮編集(オフライン編集)を行い、確認が取れた後で、スタジオで本編集(オンライン編集)と呼ばれる編集に入り、より高度な色味調整やBGMやナレーションなどを加えて仕上げていきます。

その後に試写を行い、微調整を経て、最終完成となります。

7:まとめ

ここまでブランディング動画の重要性や制作におけるポイントについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

「動画制作は難しそう」「制作費用が高そう」そんなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、機材や技術の進歩、そして、小さくとも優れた映像プロダクションの増加により、以前と比べ動画は身近なものになっています。

スマートフォンで撮影した動画でも十分に視聴に耐えうる映像が制作でき、それがYouTubeのような無料プラットフォームに上がり、場合によっては世界中の人々から見られ、評価されるかもしれません。

もちろん、そう簡単には事が運ばず、うまく行かないことの方が多いかもしれません。しかし、その可能性はゼロではありません。ただ、やってみなければ、その可能性はずっとゼロのままです。

変化する時代の中で、変化するターゲットに向けて、最もふさわしいコミュニケーション方法を探せば、動画はもはや避けては通れないツールと言えるでしょう。しかし、その壁はみなさんが思っているほど難しいものではないのです。

ブランディング動画を社会とのコミュニケーション施策として検討されている皆様の疑問や不安の解消に、このコンテンツが少しでもお役に立てると嬉しいです。ぜひ、あなたの想いやビジョンを、いつでも代弁してくれる頼もしい動画という仲間づくりに挑戦してみてください。

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